今年は新型コロナの影響で市場の乱高下に振り回された1年でしたが、このような相場にも関わらずタイトルの楽天-楽天・米国レバレッジバランス・ファンド(USA360)が良好な成績を残しています。Fund of the Year 2020(FOY2020)に向けた投票を検討していたところ、悪くないなーと考え投票しました

偏見に満ちた内容ですが紹介したいと思います。

USA360は楽天投信投資顧問から出ている、「レバレッジバランス型」の投資信託です。

https://www.rakuten-toushin.co.jp/fund/nav/riusa360/

「レバレッジバランス型」と書きましたが系列ではグローバル3倍3分法ファンド(愛称:グロ3)を聞いたことがあるくらいで界隈の知識があるわけではありません。指数にレバレッジを利かせたものを一定の比率で組み合わせたファンドと理解すればおおよそ正しいと思います。相関関係の薄い(値動きがバラバラ、逆方向)を組み合わせることで、市場の変化に耐性のあるポートフォリオとすることが目的と理解しています。

USA360の構成理念は以下のようなものと私なりに理解しています。

レイ・ダリオだったかな、株式は債券の3倍のリスク(ボラティリティ)があると言っていたような記憶です。レバレッジを利用して「株式は債券の3倍のリスク」を勘案して構成されたファンドであり、完全ではなくてもある程度の逆相関が見込めるのであれば、理にかなった構成だと思います。※公式見解ではありません

株式の3倍の債券の資金を用意すると効率が落ちてしまうので、値動きの少ない債券にレバレッジを掛けることで(株式と比べ)比較的安全に、同じ資金でも効率の良い構成を実現しています。

レバレッジを反映したファンドの金額構成として、90%が株式、債券が270%となります。90%+270%で360%、愛称USA360の由来なのでしょう。
 株:債券 = 90:270 = 1:3
ということですね。

 

目論見書によるとポートフォリオは以下となります。(2020年11月16日)

株式:
 バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)
全米の株式を時価総額ベースでウエートで保有した場合のパフォーマンスに連動するETFです。目論見書によると、正確には VTI が75%、S&P500先物 が15%で構成されています。個人の所感ですが、VTI と S&P500 のパフォーマンスは誤差と言って差し支えありません。

VTI

債券:
 米国5年国債先物
 米国10年国債先物
上記をおおよそ同じ割合(合計270%程度)で保有します。と言っても実際に買うことのない商品なのであまり実感できていません。
バンガードだと「バンガード 米国中期国債 ETF(VGIT)」が3年~10年国債、ブラックロックだと「iシェアーズ 米国国債 7-10年 ETF(IEF)」が7年~10年国債で構成されており、5年国債+10年国債ではありませんがおおよそイメージはつかめると思います。

VGIT
IEF

さて直近の成績を見てみましょう。新型コロナの影響からこのファンドの特徴が見られます。急落時の下落を抑え、上昇時のリターンを得ることが出来ています。シンプルなファンドですが凄いパフォーマンスと思います。

銘柄USA360楽天VTI
タイミング価額日付価額日付
新コロ前 最高値11,626--2/2113,531--2/21
新コロ時 底値8,695-25%3/198,986-34%3/23
新コロ後 最高値13,486+16%9/1313,677+1%11/12
新型コロナショック前後の成績比較(2020年)

以下はUSA360と楽天-楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)の年初来チャートです。見た目でもよくわかりますね。なお楽天VTIが本家VTI(ETF)と比べて冴えないのは円高の影響だと思います(1月109円/ドル ⇒ 11月中旬104円/ドル)。

 楽天-楽天・米国レバレッジバランス・ファンド(USA360)
楽天-楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)

ちなみに私は、SBI証券のTポイントを使って昨年12月に 666 円分を購入しており現在のリターンは+29%です。もっと買っておけばよかったというのはいつのときも言えることです。

(NASDQレバレッジもTポイント666円投資仲間。今年8月に購入しています)

VTIの下落時には国債金利も下がりましたね(価額は上昇)。正確には小さく短期で下落しましたが、株式と比べ微々たるものでその後は上昇しました。USA360としては価額の低下を抑えられ、かつリバランス効果(値上がりした債券を値下がりしたVTIにリバランス)により上昇を甘受できたのかなと思います。

BNDとVTI(2020YTD)

ということで推しの3番手にUSA360を選定しました。

しかし長期では注意が必要と考えています。

新型コロナでは、株価が下がり債券が上昇し、その後株価が上昇した相場だったため良い結果となったと思います。

問題は金利が上昇を続ける場合です。金利が上がると債券価格は下落し、金利が急上昇した場合は短期的に株価も下落します。構成要素がどちらとも下落するということで、債券には27倍(270%×10%)のレバレッジが掛かっています。これがどう影響するのかよく分かりません。シミュレーション(楽天投信投資顧問:販売用資料)を見る限り心配はいらないでしょうが、金利の急上昇は1980年代を最後に訪れていません。

金利の急上昇を警戒するとなると、新型コロナをはじめ景気低迷の影響が抜けて、物価が上がりバブルを警戒する局面ということでしょうか。当面発生しないと思いますが、こればかりは予想できません。

以下のチャートは米国10年国債の金利を示しています。1974年~1991年のピーク時は15%とか。嘘のようなパーセントですね。2020年11月16日現在は 0.921% です。

1974年~1991年の米国10年国債の金利

ありえないと思っていることが起こることが相場です。今後金利の急上昇がいつ起こるのかは分かりません。15%は極端ですけどね。

USA360 はとても面白いコンセプトの商品で、初めて見たときは驚いたものです。現在の金利が十分に低いため債券部分の値上がり要素は限られることから、将来も良好なパフォーマンスを示すことができるとは思えないのですが読めません。原油先物がマイナスを示すなんて予想した人はいなかったように、将来の金利は読めないです。

過度な割合で保持することなく、サテライトで楽しむことが良さそうです。


USA360は面白いと感じたことを紹介しました。特定の金融商品の購入を促すものではありませんのでご理解のほどお願いします。私なんぞ666円分しか購入していません。