金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」が凄まじく物議を醸しだしています。

詳細は既にたくさんの識者の方コメントされていますね(例:山崎元のマルチスコープ 2019.6.12 炎上する「老後2000万円」報告書問題、最悪なのは麻生大臣だMore Access! More Fun! 永江一石のITマーケティング日記 年金だけでは足りないからあと2000万用意しろの報道は内容がかなり違う)。

個人的にはワーキンググループの方々が熱意をもって議論され、気持ちのこもった素晴らしい報告書を作成されたと思っています。下手な政治問題となってしまい、正当な評価を受けることがなくなりそうなことが残念でなりません。

報告書の一文に下記の記載がありました。

標準的なモデルが空洞化しつつある以上、唯一の正解は存在せず、各人の置かれた状況やライフプランによって、取るべき行動は変わってくる。

おっしゃる通りですよね。このことは前々から記事にしようと思って温めていたものでして、くらごろ家が老後の資金をどのように備えるのかまとめました。

以前の記事「年金の正体と運用」で取り上げた公的年金ですが、実際にどのように試算としているのか。ねんきん定期便が受け取り予想額をお知らせしてくれますが、50歳を超えない場合はいまいち具体的な金額で記載されませんね。記事が参考になれば幸いです。

そもそも投資の世界にやってきたきっかけとして、企業型確定拠出年金の掛け金変更から興味を持ったことが理由ですが、家族が増えて子育てを完遂するためライフプランを見直すことにもなりました。(リンクは初投稿の記事)

このような背景もあり公的年金については予てからアンテナを張っていました。(と言っても著名なブロガーさんたちは皆さんこのあたりのリテラシーが当たり前のように高いのでわざわざアンテナ張るようなことは言いませんね。ザコなので許してください)

なおこの記事は長生き(老齢)に備える資金計画となります。長く働くこと、年金受け取りを65歳から変更する、障害・死亡リスクの備えなども大切な要素ですがここでは取り上げません。

ネット界隈の反応

過去からの公的年金に対する不信からか、浅い情報に極端な反応を示す例が目立ちます。

反応の中には年金制度が崩壊する、破綻すると政府が発表したと明らかな嘘も混じっています。事実に基づいていない憶測、飛躍によるものです。

私たちはそんな流言に惑わされて自分の将来設計を怠ってはなりません。

そもそもなぜ金融庁の発表にこのような反応を示すのでしょう。公的年金は厚生労働省の管轄であり金融庁が運営しているのではありません。これからも伸び続ける寿命により、世界中どこの国でも経験していない未知のゾーンに日本は最初に突入します。経団連会長が終身雇用の終焉を示唆する発言をしています。金融庁は、来る未来に備えるために考えましょうと報告書を通してメッセージを発信してくれています。年金に限らず生涯にわたるマネーリテラシー全体を伝えているのではないでしょうか。

より自己防衛を意識すべき時代が始まると、私は感じました。(リンクは「自己防衛おじさん【占い師の鉄平。】」さんのツイッターアカウントです。バランスの取れた大人のツイートが何とも渋いです)


くらごろ家の老後資金方針

前置きが長くなりました。さて、私にできることは家族の生活を支えるための計画作りと行動くらいです。くらごろ家の計画としては公的年金がコアであり、サテライトとして米国株式・ETFからの配当金収入となることを想定しています。配当金収入の資金は、貯金と確定拠出年金です。現在も米国株式・ETFを積み上げていますが、できるだけノーセル(売らない)のまま長期投資していく予定です。

くらごろ家の老後資金 
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コア    公的年金(厚生年金)
サテライト 米国株式・ETFの配当金 
 ・サテライトの元手 貯金、確定拠出年金、米国株式・ETF

くらごろ家の公的年金の試算

先日の記事「年金の正体と運用」で取り上げた下記の2サイト(日本年金機構、モーニングスター)を参考にしています。

ねんきんネット(日本年金機構)

こちらのサイトは年金手帳とねんきんネットから案内されるハガキを参考に初期登録を行いログインできる環境を作ります。登録方法は「「ねんきんネット」に登録するには?」(日本年金機構)を参考にしてください。

ねんきんネット⇒ログインしたら「年金見込額試算」タブをクリックします。

3種類の方法で試算ができます。まずは「かんたん試算」で試算してみましょう。独立(自営業)や大きく収入の変わる転職を控えている場合は「かんたん試算」後に利用してみてください。試算した結果はサイトに保存することができ、「試算結果一覧を表示」で確認することができます。

さてくらごろの簡易試算です(赤裸々な収入なので晒してしまっていいのか。。)。

現在の収入に基づき自動的に条件が入力されますので「試算」をクリックします。

はい、出てきました。月額の年金見込額です(晒していいのだろうか。。)。

といったように試算することが出来ました。簡単ですよね。


年金簡易シミュレーション(モーニングスター)

もうひとつ便利なサイトをご紹介します。株式や投資信託に投資している人であれば一度はお世話になったであろう「モーニングスター」が提供している試算サイトです。モーニングスターは特に投資信託の情報が充実しています。

銘柄選定にモーニングスター社の「ファンド オブ ザイヤー」を参考にすることはお勧めしません。選出されているファンドはいずれも手数料が高く利益を上げるのが難しいと思います。
個人投資家(我々の目線と同じ)が厳しく分析していることの多い「投信ブロガーが選ぶ!Fond of the Year」や、選定基準が手数料ゼロ・低信託報酬など投資家にやさしい「つみたてNISA」の選定商品を候補にして選定することをお勧めします。

こちらはねんきんネットのID登録をしていなくても入力データから試算することができます。

下記のように入力して試算してみましょう(こっちは流石にダミーデータです。いくらか保守的に入力しました)。こちらには表示されていませんがWebページ下部の「年金受取額へ」をクリックします。

はい、こちらも簡単ですね。試算結果が表示されました。

このサイトで試算して初めて知ったのですが「加給年金」と言われる制度があります。申告制の制度となりますので年金受給時に忘れずに申告しましょう。

日本年金機構 加給年金額と振替加算

老後に必要と言われる金額と年金差額

支出について

JIS&T(日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー)のサイトを参考にします。こちらの会社は確定拠出年金の運営管理機関(レコードキーピング)の2大大手の1社です。

年金制度の基本 公的年金だけだと足りない?老後の支出と収入 によると
 標準的な生活    約26.7万円
 ゆとりのある生活  約34.9万円
が必要になるそうです。

年金制度の基本 公的年金だけだと足りない?老後の支出と収入
年金制度の基本 公的年金だけだと足りない?老後の支出と収入

収入について(年金保険のみ)

くらごろは結婚していますが、もし妻が専業主婦だった場合(モデル世帯)は
 「老齢基礎年金」×2名分+「老齢厚生年金」 ※厚生年金の場合
で世帯の年金額が資産できます。
この場合「206,150円」が月額の収入となるわけです。

いま話題の【平均】収入20万円に近いということでしょう。【平均】支出が25万円とのことで5万円足りないと騒いでいるようですが、このサイトは騒ぐことを意図していませんのでご了承ください。

年金以外の収入を得ている人などいくらでもいる、データは【平均】を参考にしている、そもそも高齢無職者世帯(世帯主が60歳以上で二人以上の世帯)の【平均貯蓄】2284万円とのことです。マスコミや政治家につられて一緒に騒ぐ必要はありません。
※平均貯蓄の参照元:総務省環境局 家計調査報告(貯蓄・負債編)-2018年(平成30年)平均結果-(二人以上の世帯)
くらごろ家では共働きです。ともに稼ぎの多くない(´;ω;`)こともあり、老後を考えると結婚当初(今年17周年)からお互いに長く働くことが必要だろうと話し合っていました。当時は国民年金も厚生年金も3号保険者などの区別は何もついていませんでしたが、肌感覚で共働きが必要と感じて現在に至っています。

就職氷河期を経験してきた世代の宿命か、悲観的に考えて備えてきたような気がします。

そのため現在のマスコミや政治家(与野党とも最低)の騒ぎは非常に冷めた目で見ざるを得ないということです。大切な老後の過ごし方のはずですが、彼らにとってみると政争の具にしか映らないのでしょう。

その場の政治状況に左右されることなく、全世代の知恵を集めて建設的に議論を深め、国民に正しい情報が行き渡るようにしてもらいたいと考えます。

また話が反れましたね。年金保険は気になる関連事項が多く、話が飛んでしまいます。

くらごろ家は共働き世帯です。下記試算結果となりました。

  • ねんきんネット   約26万円/月
  • モーニングスター  約24万円/月

モーニングスターのサイトでは保守的に入力したのでおおよそ変わりのない値と思います。


差額

    金額 不足額
年金保険からの収入 夫婦合計 266,879
支出 標準的 267,546 -667
  ゆとり 349,000 -82,121

受給見込みの年金から標準的な支出が賄えることがわかります。といっても各世帯で変わってくる支出です。仮に現役時代の収入が増えた場合でも生活レベルを上げないでおくように気を付けようと思います。

年金のみでゆとりのある生活を送ることは出来ませんね。標準とゆとりの差額が8万円/月とのことで、どれだけゆとりがあるんだろう。気兼ねなく旅行を続けられるような生活なんでしょうか。

生活できない事態は避けることができるようです。まさに年金保険の持つ「防貧の機能」ということですね。

とはいっても多少ゆとりのある生活を送りたいものです。こちらはいま現役時代に実施している貯蓄と投資により叶えていきます。


資産形成 確定拠出年金と米国株投資

確定拠出年金

夫婦で企業型確定拠出年金を利用しています。特にくらごろ本人の所属している会社には退職金制度がありません。確定拠出年金をしていないと、60歳で受け取るお金が何もないということです。気持ち的に殺生な、と思いますがないものをねだるより自己防衛です。

確定拠出年金の積み上げ額は、現在夫婦で約5万円/月です。今後、最大迄追加して7万円/月にしていく予定です。

現在45歳です。55歳となる10年間を株式100%、60歳までの残り5年を債券100%と仮定してそれぞれ利回りを5%、2%とする場合、60歳時点の受け取り予想は2000万円(夫婦合計)を超える程度と試算しています。

現在は債券に切り替えることを考えていますが、そのまま行くかもしれません。確定拠出年金から現金を受け取ったら、基本的にインデックスによる米国・世界株式、米国債券を購入するはずです。非課税は終わりますが、そのまま投資を続けます。

米国株投資

老後のポートフォリオは決めていませんが、その時まで保有している株式・ETFはそのまま保有すると思います。追加資産となる確定拠出年金で米国債券にするか株式インデックスにするかの違いです。

現在の米国株投資と現金貯金、ライフプランにおける出費からの試算をしたところ、資産はおおよそ2000万円(夫婦合計)となりました。確定拠出年金と同じくらいですね。


さて、株価が半減するようなリセッションを一応のリスクと考えていますが、投資期間は一生とも考えています。

株・ETF(債券含む)を積み上げることを続けていきなるべく売りません。半減しても売らなければ損失確定せず、10年のうちに戻っていくことでしょう。

一度手にした株式から配当金収入を得ることが現在~老後にかけての一貫した資産形成です。

現役時代は配当金を全額再投資し、老後は状況により引き出します。

上記資産合計の4000万円が全額リスク資産というわけでもないと思いますので、仮に3000万円としましょう。高配当系+債券系で配当利回り(インカムのみでキャピタルゲインは除く)を2.5%と仮定します。

3000万円 × 2.5% × 80%(税引き後) = 60万円/年 = 5万円/月

これが自分年金における現在の見込額です。

この5万円/月は資産の取り崩しではなく配当収入です。資産を現金化しない、取り崩しをしない出口戦略です。

「ゆとりのある生活」から月当り3万円少ないですが仕方ありません。たいして収入の高い世帯でもないところ、これだけの見込みが立つのであれば十分上出来だと感じています。まあお金はお墓に持っていけませんので、必要に応じて現金化してもいいです。


読めない未来ですが、家族の置かれている状況を元に将来をどう描くか懸命に考えてきました。プランを練るときはずーっとエクセルに頼り切り。エクセルはマジ優秀。

標準的なモデルが空洞化しつつある以上、唯一の正解は存在せず、各人の置かれた状況やライフプランによって、取るべき行動は変わってくる。

金融庁 高齢化社会における資産形成・管理

金融庁に指摘して頂きましたが、それよりもずっと前から練ってきました。

このプランが実現(裏目標は年間1万ドルの配当収入)するよう日々を送っていくところです。


年金制度は保険であり共助(国民同士でお互いに助け合う)です。今回の金融庁WG報告書の一件は、共助だけでは贅沢できないからその分は自分で用意してね、ボケる前に取り決めをしておこう、マネーリテラシーを教えるし不適切な金融機関を懲らしめるよ、と発表されたに過ぎません。GPIFの運用もすでに元本を割ることはないであろうくらいに利益が積みあがっています(くらごろ予想)。

LIFE SHIFT では、若い世代ほど長生きすると指摘しています。確度が高いと言われている人口構成予想として100歳以上長生きするとのことで、それが当たり前となる時代がやってきます。ぼんやり長生きできる時代ではなくなりました。ファクトを確認し計画を練り実践に移すことで自己防衛しましょう。長生きするので実践中に追加で計画を練る必要が出てくるかもしれませんね。この本には他にも現役世代が何もチャレンジしないで発生そうな厳しい未来と、新しい時代で変身していくことの未来を描いています。社会に出たばかりの新人から、もはや老後に逃げ切ることのできない40代まで幅広い世代にお勧めの一冊です。